株式会社セブン銀行: 急増する問い合わせをQA ENGINEによるチャットボットで解決

お話をしてくださった方


左:お客さまサービス部 サービス企画次長 片平誠氏 (所属、役職は導入当時)
右:お客さまサービス部 サービス企画担当主任調査役 遠山みちる氏 (所属、役職は導入当時)

QA ENGINE導入の背景

全国各所にATMを配し、次々に先進的なバンキングサービスを提供しているセブン銀行。「サービスおよび口座数の増加に伴い、コールセンターへの入電数は右肩上がりを続けていたが、同時にオペレーターの採用や教育、定着が課題となっていた。」(片平氏)
この問題を少しでも緩和することを目標にAIを使ったチャットボット導入の検討を開始したのが2017年の4月。夏までの数ヶ月に各社のAIソリューションの比較を行った結果、QA ENGINEを導入することに決定した。

QA ENGINEを含めて検討したソリューションは5種類ほどあったが、QA ENGINEに決定した理由は、主に価格と操作性だった。
検討対象ソリューションには利用料が年間1000万円を超えるようなものも含まれていたが、「事前に効果が明確にわからないものに対してその規模の投資をするのはリスクが大きすぎる。その点QA ENGINEは月額利用料が30万円であるため比較的導入の決断がしやすかった。」(片平氏)
また、お客さまサービス部内で自律的に運用していきたいという目標があったので、ベンダーのエンジニアの力を借りずに運用できること、専門知識がない担当者でも無理なく操作できる運用画面があることも導入の大事なポイントだった。
QA ENGINEは質問と回答のデータさえ入力すればあとはボタン一つで機械学習およびチューニングを全自動で行ってくれる。「操作性が他ソリューションと比較して抜きん出て高かった」(片平氏)ことが最終的には決め手となった。

導入から運用まで

2017年9月には本格的に導入に向けての作業を開始した。「導入にあたって最も重視していたポイントは、誤答の表示を極力少なくするということだった。」(遠山氏)正答率を上げるために学習データの整備に力を入れることはもちろん、QA ENGINEがAPIで返す確信度スコアの低い回答は足切りを設けることで表示しないこととした。

また、お客さまの質問が一つの回答に絞りきれないケースにおいて、聞き返しを行うのか、回答を複数表示するべきなのかということも議論になったが、回答を複数表示することに決定。「やりとりが余分に発生する聞き返しよりも、すぐに回答を複数見せてお客さまに判断してもらう方がよりスピーディーで当行のサービスに合っている」(遠山氏)ということが選択理由だった。
そこで、QA ENGINEのAPIが出すスコアを使って、高スコアの回答なら1つだけ回答を見せ、それ以下のスコアである一定上のスコアの場合は3個回答を見せるという動きにした。

当初は2018年1月にお客さまへの提供開始を目標にしていたが、社内のテストの結果、質問の対象範囲を広げた方が良いなどの判断が入り、結局は2018年4月にサービスローンチとなった。

導入の効果

セブン銀行のチャットボットは、ホームページの右下にウィジェットとして設置されている。ユーザーインタフェースであるチャットウィジェットはモビルス社のMobiAgentを利用、QA ENGINEはAPIでMobiAgentに繋がっている。MobiAgentを通じて受けたお客さまからの質問がQA ENGINEに送信され、QA ENGINEのAPIが表示した回答がMobiAgentに瞬時に表示される。

導入の効果はチャット需要が大きいと思われる①カードローン、②暗証番号・各種パスワード、③ATM手数料・利用時間の3分野における電話問い合わせ数減となって現れた。2017年12月と2018年12月のコール数を比較すると、全体の月間コール数は約25,000件から約30,000件へと20%増加したが、当該3分野の月間コール数は約4,400件から約3,800件へと14%減少した。
また、チャットボットのKPIとしては主に回答率(チャットボットの回答対象の質問に対しAIが回答をした割合)および正答率(AIが回答をしたうち、正解だった割合)を計測しているが、2018年12月時点で回答率が91.2%、正答率83.4%を達成している。
導入当初は正答率が60%台だったこともあったが、質問に対しての正解の紐付けの間違いや、機械学習に関係のない質問をデータから外すなどの見直しを行うことにより、徐々に正答率を上げることに成功した。

今後の展望

現在チャットでの問い合わせ対応は自動応答のみで、もしもお客さまがボットの回答に満足できなかった場合は、メールまたは電話での問い合わせ依頼に誘導される。しかしユーザーインターフェースとして使っているMobiAgentには同一通話内に有人対応に引き継ぐ機能がある。今後は、この機能を活用して同一通話内でチャットからオペレーターが対応を引き継ぎ、ワンストップで問い合わせが完了することを検討している。


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